アラハバキは、「荒脛巾」とか「荒波々幾」などと表記されますが、これは後世に音合わせで符合させた「あて字」ではないかとされています。つまり、文字が一般的ではなかった時代から信仰されていた神さまなのです。
荒波々幾大神(アラハバキ大神)を祀る金吾龍神社(東京都渋谷区代々木)のサイトには、「社伝によれば5000年以上前(縄文時代)から信仰されてきた最古の龍神(龍蛇神)とされます」とあります。
私の内なる神、自然霊であり龍蛇神である、アラハバキさまについて紹介します。
アラハバキさまは自然霊であり龍蛇神

人は、どんなものものでも、名を付けて存在を認識しようとします。名付けることで、他者との共有も容易になるからです。
古代シュメールのカルディア人は、宇宙の神をアラ、大地の神をハバキとして信仰していました。続縄文時代に、縄文人とともに北海道で暮らしていたアイヌの人の古語では、アラハバキは生命を誕生させる女性器を指す言葉です。
私は、神道の核心は「人は自然、宇宙と同体」ということを気づかせることだと考えています。鳥居や祠がある神社というスタイルが形成される以前から、縄文人は自然の構成物そのものに対しての祭祀を通して、このことを自覚していました。
太陽や月、山、巨石、巨樹、清流に祈りを捧げ、自然霊というエネルギー体の象徴である「龍蛇神」を祀っていたのです。
アラハバキさまは、この列島に住む人々にとって、最も歴史ある神さまの一つなのです。
列島の活断層が生みだす自然エネルギー

日本列島は、太平洋プレート、フィリピン海プレート、ユーラシアプレート、北米プレートという4つのプレートがせめぎ合う境界に位置しています。この相互作用で、日本列島の地下には活断層が約2000あり、地震のエネルギー源となっています。
プレートの沈み込みによる「海溝型地震」だけでなく、陸域の活断層が動く「活断層型地震」も頻発するのが特徴です。
人々の生活に壊滅的な被害を与える、活断層が生みだす自然エネルギーは、同時に無尽蔵のエネルギーを生み出しています。このエネルギーの波動が、はるか太古の時代から列島上のあらゆるものに影響を与えてきました。
また、多くの研究者が報告しているように、活断層に沿って周囲とは異なる特異的な磁場の変動が存在しています。
この磁気異常が発生する場所の多くに、人と自然霊を繋ぐポータルとなる神社が成立しているのです。
アラハバキさまは蝦夷の神、私は蝦夷の末裔

アラハバキさまを祀る神社は、主に東北地方(北海道にもあります)にあり、関東、愛知、島根、愛媛などに点在していますが、出雲大社や伊勢神宮でも「客人(まろうど)神」として祀られています。アラハバキ神社は全国に約150社あるとさていますが、詳しいことは明らかになっていません。
日本という国の成り立ちにおいて、出雲や伊勢の物語は、あまりにも有名です。そして、彼らが日本を統べる過程において、追いやられていったのが先住の縄文人たちです。
この縄文人たちを彼らは蝦夷(えみし)と名付けました。蝦夷とは、華夷思想にあるような、自民族優越思想からきている差別的な蔑称です。
ただし、彼らは蝦夷の神までは完全に追い払うことはしませんでした。それが今もアラハバキさまが列島に在る理由です。
私は生まれも育ちも北海道ですが、昔々、北海道は蝦夷地(えぞち)と呼ばれていました。幕末の戊辰戦争末期に、旧江戸幕府軍が北海道に樹立した事実上の政権(蝦夷島政府)の俗称は「蝦夷共和国」です。
ですから、蝦夷は私にとって非常に馴染み深い名称です。また、強いものに打ちひしがれた蝦夷の成り行きに強いシンパシーも感じます。
私の深いところで共鳴する蝦夷の人たちの心情と、蝦夷たちとともにあったアラハバキの神さまには特別の思いがあります。
私は蝦夷の末裔であり、だからこそ自然な流れとして、私の内なる神は真の縄文神である「アラハバキさま」だといえるのです。